 |
 |
真剣なこだわりが胸に刺さるクルマだ、新しい「S204」は。 パッと目立つ部分ではなく、見えないところに神経を注いだあたり、本当の意味でのFINEチューニングと言いたい。
塩を一つまみ加えることで、かえって甘味が引き立つことがある。そんな微妙なサジ加減は、日ごろ「S203」を愛用していればこそ感じ取れると、少しは胸を張らせてもらおうか。そんなポイントは数々あるが、代表的なのがヤマハ発動機と共同開発した「パフォーマンス・ダンパー」。普通ならストラットタワーバーなどでボディをがっちり押さえるところを、特殊なダンパーで巧みにいなすのがS204。

ストロークほぼゼロに近いのに、これが不思議に効く。ガチガチではないのに、かえってボディが締まった感じなのだ。攻めたコーナリングで、ステアリングを大きく切り込んだ状態からさらに切り増すとか戻すような微妙な修正に、とても素直に応じてくれる。特にS 字の切り返しなど、ややフワッと頼りなくなる感覚が減った。
その裏には、エンジニアたちの大人としての判断もある。 S203では4 段階に減衰力を調節できたダンパーが、今度は固定式になった。リアウィングも、2 種類の迎え角を選べたS203を元として、立てた方に固定された。「これが正解」と言い切ったところに、クルマ作り正攻法の自信が見える。言い換えれば、S203で高い境地を究めたからこそ、あらためて技術者の欲がかき立てられたのに違いない。
|
 |
 |
 |

こうしてS204は、1 年前にS203がめざした「大人のグランドツーリングカー」の王道を、さらに大股で数歩進んだ。それが最も見えるのはインテリアで、自慢のレカロ・シートの両サイドが皮張りになり、深いバケット形状ながら乗り降りしやすくなっただけでなく、たとえようのない高級感が漂う。さすが片方だけで77万円もするだけのことはある。そんな逸品を横目でニラみながら、せめてパフォーマンス・ダンパーぐらいは部品として発売してもらって、こちらもアップデートしたいものだと、S203オーナーとしては羨ましく思うばかりだ。
|
 |

1946年 東京生まれ
1970〜1995年まで自動車雑誌に記者兼編集者として勤務。1995年より「E・カンパニー」を主宰。編集部在籍当時よりあらゆる分野を担当してきた延長で、現在も量産車のニューモデル紹介及び解説、試乗報告、環境問題からモータースポーツまですべてカバー。職業上だけでなく個人的な趣味でもクルマ漬けの毎日で、現在4輪車を6台と2輪車を7台所有。仕事で駆け回る時のメインは低公害車だが、もちろんスポーツタイプも大好き。かつてSUBARU 1000スポーツを愛用したのをはじめ、トヨタS600やポルシェ911など水平対向エンジンとの縁も深い。
|
|
 |